都市開発を進める上での道路行政の課題についての一考察−都市計画に潜むカミソリ地の存在−

要旨

都市計画と一言にいっても範囲が広すぎるが、我々が住んでいるまちにおいて、一番身近にある公共施設の1つに道路がある。道路には、道路法で定める道路と建築基準法で定める道路とがあり、それぞれ定義等が異なっている。道路法では、2条より「道路とは、一般交通の用に供する道で次条各号に掲げるものをいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設又は工作物及び道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものを含むものとする。」と定義されており、また、道路の種類を3条で「高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道」と定めている。また、建築基準法43条では、敷地は建築基準法上の「道路」に2m以上接しなければならないことから、このように道路を公道と接続させるために設けられた私道であることがわかる。また、この専用通路は、登記簿上は「公衆用道路」ではなく「宅地」の場合もある。この道路というのは生活していく上では不可欠であり、引いては都市計画を考える上において非常に重要な役割を果たす。この道路というもの自体も必ずしも公共物ではなく私有物のものもあり、都市計画を進める上で障害になるケースも出てくる可能性がある。つまり、道路というものは、公共物と私有物の2つの顔を持っていることから、その取扱いについても注意しなければならないのである。法律上では、道路法と建築基準法という2つの法律があるが、これらは道路の定義や建築物を建築するためものルールを定めており、「こうでなければ道路としては認めない」という内容だ。一方で、国や都道府県などが所有する道路と個人等が所有する道とがあるが、先に述べた2つの法律に加えて所有権といった権利が生じる。公共物であれば法律に基づいて維持管理するのだが、個人等が所有している場合はどうか。個人等が所有すれば、所有権を行使することは認められているので、そこには様々な個人的な感情が入り後々に問題になるケースも出てくる。また、開発行為において、開発で設置された道路の終端に小さな土地を予め所有しておいて第3者が何か建物を建てようとなったときに、それを法外な値段で他人に売るというようなケースがある。こういった所有権というものの在り方も含め「安全で安心な町にするためには」という問いに対して考察した。

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