持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた自治体環境基本計画における参加と協働の政策形成プロセスについて —京都市環境基本計画を中心として—

要旨

環境政策を実施するための手段として、市民参加や協働取組の考え方が国及び自治体の環境基本計画にも定められている。また、政令指定都市すべてにおいて、市民参加をはじめ、市民・事業者といった利害関係者の協働取組に関する条例等が定められており、行政の政策形成過程において、市民参加手続きを行うことは必要不可欠となっている。
そこで、本稿においては、持続可能な社会の実現に向けて、市民を巻き込んだ政策作りを行うためには、どのような関わり方や仕組み作りが必要かといった点を中心に整理を行う。とりわけ、京都市環境基本計画について、持続可能な社会の実現のために、多様な主体と将来像や目標を共有しながら取組を進めていくための望ましい政策形成のあり方について、
他都市の事例及び京都市の市民協働の取組を参考に、SDGsの目標16及び目標17の達成に向けた参加と協働の観点から検討を行う。まず、【1】京都市環境基本計画について、現状と課題を整理したのち、【2】持続可能な開発目標(SDGs)について、採択に至るまでの経過を概括したうえで、日本国内における取組として、環境未来都市、環境モデル都市、
SDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業を取り上げ、代表的な都市としていずれの事業にも採択されている横浜市、北九州市及び下川町の事例について、パートナーシップ及び市民協働の視点から整理を行う。次に、国の環境基本計画の概要を整理したうえで、政令指定都市における環境基本計画について、協働取組の位置付けがどのようになされているか、整理を行う(京都市除く)。
その中でも、SDGsの考え方を取り入れた自治体環境基本計画を策定している6都市について、協働取組の視点から、政策形成過程において、目標16及び17に貢献する取組がされているか、また、分野別目標、施策及び指標がどのように掲げられているかに着目し、それぞれの特徴について整理を行う。続いて、【3】横浜市、北九州市及び京都市の市民協働の事例を取り上げ、
参加と協働の観点からSDGsの目標16と目標17を達成するための協働型の政策形成プロセスのあり方について整理を行う。最後に【4】各章で明らかになったことを踏まえ、京都市環境基本計画の政策形成過程において、SDGsを取り入れた実行性のある政策にするために望ましい協働のあり方について提言を行う。

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