デザイナーの起業に関する研究

要旨

デザイン技能を拠り所に起業するデザイン技術創業者(以下デザイナー起業家)の多くは、起業機会を認識しても (Timmons, 1997; Bygrage and Zacharakis, 2009)、実際起業するまでには至らず、あるいは起業しても、事業を発展できていない、即ちTimmons(1997)の言う「起業機会の入り口」で停滞しているのではないか。停滞しているとしたら、なぜ、デザイナー起業家は起業機会の入り口に留まってしまうのだろか、デザイナー起業家が起業機会を実現するためにはどのような要素または経営資源の補完が必要なのだろうか。

この課題に対して、本論では、Verganti(2009)のデザイン・ドリブン・イノベーションの理論を基盤とし、デザイナーが「起業機会の入り口」で停滞せず、事業を維持・拡大するためには、技術を収益化する、第三者による経営資源の補完が必要であることを示す。また、デザイナー起業家の起業及び経営スタイルを補完するべき経営資源や機能を可視化し、デザイナー起業家の起業モデルとして提示する。

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