欧米の事例分析からみたスポーツによる都市再生モデル

要旨

わが国の自治体の多くは、ワールドカップの開催地となるよう、誘致合戦に遅れまいと奔走し大型スタジアムを建設したが、その後、多くのスタジアムの稼働率の低く課題となっている。この背後には、これまでの都市戦略性の弱さ、また市民が主体となるスポーツの構築が遅れているなどの点もあった。本研究では、これまでのように国が主導する「体育」「教育」としてのスポーツから、「市民」「地域」が主役となる市民参加型で都市再生に寄与するスポーツへと転換する都市戦略を考察した。すなわち、

(1)地域・市民からの参加としてのスポーツ、

(2)行政からの都市戦略としてのスポーツ、

の観点が重要となってきている。

3つの海外成功都市事例「インディアナポリス」「シェフィールド」「バルセロナ」から抽出される「4つの視角」として、

【視角1】都市戦略、都心立地でイベントや投資を促す(経済効果)、

【視角2】市民参加(社会的効果)、

【視角3】地域運営組織。とくにスポーツコミッション、

【視角4】財政戦略と規制緩和制度設計、

などの点が重要であることを明らかにした。

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